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今回は『Re:ゼロから始める異世界生活アニメ』4期が放送されればその内容となる6章プレアデス監視塔編についてネタバレ解説していきます。
今回は6章の3つ目で内容としては23巻になります。
内容は簡易的にまとめていますので詳しく知りたい方は是非書籍を買いましょう!WEB版と書籍版では変更点がありますが、書籍版に沿った内容で紹介していきます。6章はここからどんどん面白くなります!
さらにリゼロ2期アニメを全話無料視聴する方法もご紹介します!
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リゼロ23巻ネタバレストーリー
23巻ネタバレはこちらの動画でも解説考察しています。
記憶喪失のはじまり
スバルは目の前にいたエミリアとベアトリスを見て自己紹介をする。しかし知っていると言われてしまう。そしてスバルは2人から1年以上の付き合いだと知らされる。記憶がないことに2人は驚くもスバル自身も混乱でいっぱいいっぱいだった。
当初、自分が普通の異世界召喚をされたものだと思っていたが、2人とは既に出会っており、スバルだけが忘れている状況に頭を悩ませる。しかし腕をみると、黒い血管のような斑の紋様があり、明らかにコンビニから出た直後の体ではなかった。
そしてへこんでいる2人に前向きな言葉を言うとエミリアはやっぱりスバルだから安心したと言う。ベアトリスも今回だけは目はつぶってあげると言う。そしてスバルは改めて自己紹介をして、2人の名前を聞く。ただのエミリアと大精霊ベアトリスでスバルの契約者だと話した。
それから皆の所へ行き、記憶喪失について話すとラムが何の悪ふざけなのかと話す。そこにシャウラが飛びついてきて、何回あーしのこと忘れるッスか?と以前にも忘れたような事を話す。そしてメィリィにはまたぬいぐるみ作ってと言われるが、ベアトリスに自分を殺しにきた殺し屋だと言われ驚く。
そして襟ドナはスバルの衝撃的な告白がなければボクから驚きの告白をするはずだったと言い、アナスタシアと名乗る。アナはユリウスの落ち着く時間を与えたいと言う。それからラムと水汲みに行く際にベアトリスにベティーという呼び方はやめてほしいと言われ、エミリアをエミリアちゃんと呼んだ事にエミリアの返事に一瞬躊躇いがあった。ラムと二人きりになるとつまらない芝居はやめなさいと言われる。しかし本当に忘れていると言うと、ラムは声を震わせて「バルスが忘れたらレムは…」と言う。ラムはそれ以上言わなかった。
スバルの腕の黒い紋様はクルシュから受け取ったカペラ龍の血の被害によるものですね。足にも同じものがあります。
仲間との関係
部屋に戻る時、部屋からエミリアが、スバルは忘れる事の辛さを知ってるから冗談でも言ったりしないと言っていた。スバルの隣でラムはエミリアの意見を肯定する。そしてユリウスが改めてスバルに挨拶をする。キミとは友人のようなものだと自信なさげに言う。さらに襟ドナは自分はアナスタシアではないと告白する。ただ、スバルにとってアナの記憶がない以上、ピンとこない話だった。
眠ったレムや別の街の病気にかかった人を救うためにきた塔。しかし攻略を始めた段階で、スバルは記憶を失い、アナの意識は深淵。スバルは明るい情報がないと言う。しかしエミリアは下ばっかり向いててもしょうがないと前向きに話す。そしてスバルも今の俺はしがらみに囚われない斬新なアイディアを出せるかもと言う。
そんな発言にユリウスは記憶の有無に関わらず勇猛と無謀の区別がつかない所は変わらないと言うとスバルも言ってくれるじゃねえか、その態度そっちがお前の素ってわけか、ユリウスさん…ユリウスだなと言う。どんな付き合いだったか想像がついたとスバルが話す。そして食事をすることに。
襟ドナがアナとの関係は精霊としての契約はしておらず、友人だというとエミリアは家族じゃないの?と聞く。面映いがしっくりくるという襟ドナ。そしてこの事はスバルとベアトリスは知っていたと話す。そしてユリウスが重要なのはスバルが記憶を失った経緯だと話す。エミリアにどういう経緯で見つけたか聞くと、三層の書庫で倒れていたと言う。それから緑部屋に運んだとのことで、スバルは緑部屋が原因では?と聞くと襟ドナが否定する。
襟ドナはあの部屋にいた地竜はスバルを忘れていたかどうか聞くと、スバルは懐いていたので忘れていた感じはなかったと話す。そうした点からも悪さを働いたのはタイゲタの書庫の可能性が高いとの事に。
無能力
なにせ死者の書を収めた曰く付きの書庫だと襟ドナがいうと、スバルが死者の書という中二チックな言葉に反応する。そして死者の書について聞いてから、そこでスバルが倒れていたということは死者の書を読んで倒れた可能性があった。そこで食事を終えてからタイゲタの書庫へ向かうことに。
しかしスバルには本のタイトルを読めなかった。そこで読み書きはできたのかエミリアに聞くと最初はできなかったけど、勉強してできるようになったという。やはり召喚後の記憶がなかった。そして知っている相手しか記憶の追体験ができないとわかりスバルは一冊も読めなくなっていた。
そこでハズレの本を床に積んでいくしかないのかと話すとそれは塔のルールに違反、書庫の不敬に当たるかもしれないと言われ、それに違反するとシャウラが血も涙もないキリングマシーンになるとか。そこでスバルは何もしないでそこにいてと言われたので、スバル以外で書庫を調査することに。しかし収穫は得られなかった。
それからスバルは掌からエネルギーを放出するイメージで力を放つも何も起きず、全力疾走や跳躍などいくつかのパターンを試したが、神からの恩恵は何ももらっていないと感じた。ステータスオープンと言ってもエミリアにキョトンとされ、ゲーム世界お約束のステータス表記もレベルの概念も存在しないようだった。さらにベアトリスには魔法なら初級魔法でゲートを壊して永久に使えなくなったと言われる始末。結局覚えていない絆に縋り付くしかないと感じた。
それからスバルは五層から四層の高さ数十メートルの螺旋階段を歩いていた。そんな時、ふと首を振ったスバルは息を抜くような声を漏らした。それは思いがけない出来事が起きた時のものだった。天地がひっくり返り足が、体が、地面を離れていた。スバルは落ちていた。
予知夢
ようやくスバルは自分の身に起きた事を理解する。螺旋階段を踏み外し巨大な闇に呑み込まれている。そのまま嘔吐感が込み上げ呼吸が間に合わず喉を塞がれる。スバルは失神し意識が途切れ、そして硬い衝撃に呑まれる。
目を覚ますとエミリアが大丈夫なの?と声をかけてきていた。そしてベアトリスもおり、もっときつく言ってやらないと心配が伝わらないと言う。そしてエミリアがベアトリスがスバルが見当たらないって大慌てで倒れている所を見つけて泣きそうだったんだからと言うとスバルは「え?なに、夢?」と大いに首をひねった。
エミリアとベアトリスも首を傾げて会話するとエミリアが「エミリアちゃんって呼ばれるのは変な気持ちになる」と言う。そしてベアトリスがどうして夜の間にタイゲタに入ってしかも倒れていたのかしら?と聞かれる。スバルはまたタイゲタで倒れてたの?と言う。
そんな中ベアトリスが話が食い違っている気がすると言う。そこでスバルは「まず話してた通り、目を覚ましたら俺には記憶がなく、この世界に召喚されてからの記憶が」と話す。それにベアトリスとエミリアが記憶って何のことかと聞く。そしてスバルは既視感から、予知夢が自分の特殊能力だと考える。しかしスバルは予知夢の事を話さなかった。それは、一度目の世界で誰もスバルに予知夢の能力があることを触れなかった。エミリア達はその存在を知らず『ナツキ・スバル』は一度も自分の能力を打ち明けていないからだった。
そして、その後の展開も予知夢の通りに進み、皆が反応した。ただ、襟ドナだけはこの状況のわりには落ち着いているねと言う。演じきれていなかったスバルは言い訳をし、それから前回と同じくタイゲタへと誘導する発言をした。何も成果が挙がらないとわかっていながら行動していた時、シャウラとメィリィは記憶の有無でスバルを区別しないのが救いだった。スバルの邪魔をするシャウラに対しメィリィはシャウラのポニテを引っ張りベアトリスに怒られないように見張っててあげないとと言う。
螺旋階段の痛み
メィリィは「ホントに何も覚えてないのよねえ。ペトラが聞いたら泣いちゃうかも、お兄さんの事を大好きな女の子で」と言うとスバルの知らない名前から、昨日の俺はなんて迂闊な真似をしてくれたんだと言う。それから予知夢を役立て、前回は自分がいては話しづらいのではと参加しなかった会議に参加しようとする。そして予知夢の事を皆に話そうと決意する。
しかし拠点に行こうとした時、今のスバルを同行させるのは危険ではないかと話し声が聞こえてきた。ラムや襟ドナは記憶を失ったスバルを今は信じられないと言うもエミリアやベアトリスはスバルを信じると言う。それを聞いたスバルは皆との信頼はあると前提だと思っていたのでショックだった。なので予知夢の事も信じてもらえるか不安になる。
そんな自分の不足を自覚した正面、急に視界が開けた。そこは四層と五層をつなぐ螺旋階段。この光景に見覚えはあったが、それとは別に妙な感覚があった。そんな時とん、と軽い衝撃があり、スバルは一歩前へ踏み出していた。スバルはそのまま落下する。予知夢から目覚める前、スバルは同じ目に遭っていた。そして衝撃のあまり、意識が途切れて気づいたら緑部屋で目覚めて。だったらこれもーー。スバルは何度も螺旋階段にぶつかりながら落下し右腕がへし折れ、体が人の形を失っていく。
スバルは絶叫をあげて覚醒する。しかし全身を覆った痛みが掻き消えており、目の前にいたエミリアが声をあげるとその手を振り払いスバルは後ずさった。スバルは四つん這いになりながら部屋の外へ飛び出す。あんなに苦しい思いをして死んだはずなのに、なぜ終わっていないのか。スバルは無意識に上を目指しており、すると「オメエ、こんな朝っぱらから何しにきやがったんだ、オイ」と声が聞こえた。
泣き喚いていたスバルは、足を踏み入れてはならない猛獣の檻の中だと気づく。棒切れを持った男が近づき、その先端を突きつけられただけで、それが死に思えた。勘違いしてんじゃねえと言われ男がスバルの胸に棒切れを突き込んだ。それだけで血を吐くような苦痛を全身が貫く。
ココアのコップ
「失せろ稚魚」と言われ乱暴にスバルを蹴りつけ後ろに転がすと、自分が階段を踏み外したと気づく。スバルはとっさに床に爪を立てなんとか転落を堪える。自分は砕け散ったはずなのに、どうしてこんな世界にいるのか。スバルはほんの数時間前までぬくぬくとした倦怠の日々の中にいた。父と母の視線に顔を伏せていればいいだけのそんな場所に。
その報いなのか、父と母に迷惑をかけ続けた。「行ってきますって、言えばよかった」家を出る時にいってらっしゃいと母に声をかけられた。自分はそれに応えなかった。何故か。それは台所の水につけたコップを洗っていなかったから。ココアを飲んでこびりついた汚れを洗うのが面倒だった。母の声に応えてしまったら、コップを洗えと言われるかもしれなかった。だから応えなかった。
何も言わないまま家を出て、コンビニに向かい、自分で稼いだわけでもない金を使って、気づけばこんな場所にいた。コップ一つも洗わずに優しい母に何も言わずに、こんな場所で死にそうだ。自分が死ぬと自覚した途端、死の存在を身近に感じた。それは階段の下からじっと自分が見つめ微笑んでいた。「俺はお前に殺されない、俺は死ぬ!死んだんだ!」と叫んだ瞬間、体が動かなくなった。
「ーー愛してる」それは多分黒い女だった。覗くことのできない黒いヴェールが顔を隠し想像を絶するほどに強い感情を紡いだ。愛してると囁くのと同時に女の黒い指が心臓を掴む。その瞬間の痛みがスバルを屈服させる。しかし開放は突然だった。スバルはそこに崩れ落ち、涙して失禁していた。俺をいっそ殺してくれと声にならない言葉で子供のように泣き続けた。
スバルは階段の途中で蹲っている所を発見され、連れ戻された。もうどうにでもなれという気持ちが溢れ、記憶がないことや周りが怖くて逃げ出したことも全部ぶちまけた。そして自分は同じ状況を三度繰り返している事実にようやく自分の状況を正しく認識した。自分は2度死んだ。そして舞い戻った。同じ時間をやり直す『死に戻り』それがこの異世界でナツキ・スバルに与えられた神からの祝福だった。
五枚目の扉
涙も枯れ果て、笑うしかなかった。ここにいてと言われ一人部屋に残され、黒いトカゲに裾を引かれるも振り払う。スバルは水汲みに同行し塔内も案内された。そして水と食料を確保しこの塔から外へ脱出すると判断する。スバルは誰かに殺された、だから当然の判断。容疑者は7人。誰が敵で味方なのか判別が不可能だった。
スバルはいつの間にか前回までに死んだ時間を超えており、階下へ向かい外に出る。広大な砂漠を目の当たりにして、ここにはいたくないと前へ踏み出す。しかし、突如スバルの体は宙に投げ出されていた。それは巨大な蚯蚓だった。スバルは砂の上に落とされ、塔内に逃げ込むしかなかった。しかしそれも吹き飛ばされた距離から蚯蚓をかわして塔内へ行かなければいけなかった。
そして蚯蚓はスバル目掛けて倒れ込んでくる。なんとかかわすも衝撃に吹き飛ぶ。塔の入り口に駆け込む瞬間、地中に埋まっていた蚯蚓の尾の方がスバルの足を刈り取った。そしてスバルを口で迎えようとした時、白い光が迸った。それは蚯蚓の頭を吹き飛ばし、次々と放たれた光は蚯蚓を穴だらけにしていく。生き残ったスバルだったが、蚯蚓がそのまま倒れ込んできた。
手足が埋まり、地下へ引きずり込まれる。全身が砂に呑まれ意識を失う。覚醒すると、地下に落ちたことを理解し、自分が持っていた革袋を確認する。すると中にあった非常食は食い荒らされており、周囲に散乱していた。ここは何がいても不思議ではないと感じ、ヤバイと逃げ出す。正面、触れた指先に光が生まれ、ほどけるように扉が掻き消えた。直後、塞がれていた道の先から溢れ出したのは悪臭だった。
そして悪臭を頼りに暗闇を進み、数時間が経過した。そしてそれを辿る内に三枚目の扉が現れるも、スバルが触れた瞬間にまたもや掻き消える。扉を超えるごとに悪臭は濃度を増しており、進めば進むほど臭いの大元に近づいていた。しかし四枚目の扉を乗り越え五枚目の扉に差し掛かった所で開かなくなった。スバルは頭を打ち付け苛立つ。これはスバルの為の扉だ。それはひと目見た時からわかっていた。それなのにどうして邪魔をするのか。この先にあるものを暴くことが、スバルの役割だと。それを何故この扉が邪魔をしようというのか。
この扉の場所は21巻でスバル達が塔に来る前に皆と分断され、ラム、襟ドナ、パトラッシュと共に進んだ扉と同じ場所でしょう。しかしその時は4枚目の扉で止まりました。今回は5枚目まで来ています。予想通りならこれは恐らくスバルの持つ魔女因子の数であり、24巻でその意味がわかります。
死者たちの塔
そんな中、突如スバルの体が光に包まれる。その直後スバルは地下から開放されていた。そこは監視塔の五層に存在する大扉の前だった。死にたくないから逃げようとしたのにとスバルの奮闘を全て台無しにする。「ーーもう、いい」なぜ逃げ回らなければいけなかったのか。スバルを殺した容疑者はこの塔内にいる。そこまでわかっているなら、自分を殺そうとするより早く相手を殺す。そう決意し階段に足をかける。
「殺す、殺す、殺す」と呟きながら、一番最初に目に入った相手を躊躇なく殺すと心に決め、四層へ至った。しかしそこには頭の潰れたシャウラが見るも無惨な姿で倒れているのを見つけた。それを見てスバルは嘔吐した。人の死を初めて目の当たりにした。そしてスバルを殺した犯人と同じ殺人者の手で殺されたのだと思い、シャウラは犯人じゃなかったと結論づける。
シャウラの死を見たものの殺意は萎えていない。その覚悟があったのに、曲がり角の先に襟ドナの死体を見つけ、自分の覚悟がこの地獄でどれほど役に立つのかわからなくなった。襟ドナの亡骸は左肩から右肩にかけてバッサリと断ち切られていた。
さらにラムは後ろから胴体を吹き飛ばされ胸に大穴が開き、ユリウスは全身におびただしい傷を負い、最も凄惨な有様、メィリィはユリウスに背後を庇われ穏やかな致命傷だった。残っているのはエミリアとベアトリス。二人を探して緑部屋に入るとそこには黒いトカゲがおり、生きていた。それを見て部屋から出ようとするとトカゲがついてきた。ユリウスの死体の傍で拾った折れた剣でふざけるなとトカゲの首筋に叩きつけた。しかしトカゲは深く突き刺さった剣には目もくれずスバルの行いを見ていた。スバルは何なんだよどうしたいんだよ!とトカゲに吠え感情を爆発させる。
スバルはこの八方塞がりな状況から開放してくれと世界そのものに願った。そんな願いは塔全体を揺るがすような振動と共に現れた無数の黒い手によって叶えられた。四層を突き破って通路へ溢れ出し壁と天井を蹂躙する。脳裏にスバルを見つめていた黒い女の存在が過ぎった。
黒いトカゲ
トカゲはスバルの肩口に牙を引っ掛け強引に体を運び、影の猛威からスバルを遠ざけようとしていた。スバルはトカゲにしがみつき、螺旋階段へ向かう。何も悪い事をしていないのに、なぜスバルは死ななくてはいけないのか。だから「嫌だぁ!死にたくない!」と泣き叫んだ。それを漆黒のトカゲだけがそれに応えた。スバルの声を聞いたトカゲは甲高い声で鳴き、黒い靄に覆われる世界に対して真っ向から向かっていった。
押し寄せる影の隙間を通り抜け懸命に走る。しかし全てをかわしきれたわけではない。あちこち影に抉られスバルに届かないように我が身を犠牲にしていた。そんな時、トカゲは首をひねりスバルの体を振り回し放り投げた。原理は不明だが、スバルはぶつかるはずの壁を素通りした。トカゲは通路に取り残され押し寄せる影の中へ呑まれて消えた。
そこはバルコニーのような空間だった。呆然としたスバルの前に不意に何かが横切った。それは一羽の白い鳥だった。終わりが迫ってくる感覚を味わいながら空へ手を伸ばした。そんな時背後に気配があった。鳥でもトカゲでも影でもない。振り返る余力のないままスバルは「…お前はなんだよ」と問いかけると「ーー次、当ててみなよ、英雄」と背後の誰かが笑った。瞬間、スバルの視界が跳ね上がり回転する。自分の体が軽かった。誰かが後ろからスバルの首を刎ねていた。
スバルは草のベッドの上で目覚める。エミリアとベアトリスに心配され、自分が異世界召喚されたと認識できた場所に舞い戻ってきたのを理解した。そしてそれと同時に慌てて振り返り、影に呑まれる寸前まで奔走していてくれたトカゲを視界に入れる。スバルはエミリア達の会話に反応もできずに目の前のトカゲの大きな体に抱きついて、その存在がここにあることに感謝した。
そしてスバルは落ち着き、寝ぼけて女の子に抱きつくのって俺のキャラじゃないしと話すとエミリアにパトラッシュちゃんも女の子でしょ?と言われ驚く。しかしスバルはパトラッシュを特別枠だと言う。
ユリウスとの対峙
それからスバルは2人と朝食をとる為に拠点の部屋へ向かっていた。何故なら今回は記憶喪失について打ち明けていなかった。『ナツキ・スバル』になりすましその上で殺人者の正体を暴き出す。まずは記憶喪失がトリガーなのかを確かめようとする。そして今一緒にいる二人が唯一死体を見ていない人物で一番警戒する容疑者。
それからラムに水汲みを手伝いなさいと言われると、ラムの最期を思い出し嘔吐感がこみ上げる。そしていつも通り元気なシャウラがきて、その後、襟ドナとユリウスが来たが、ユリウスはスバルに気づいた途端に頬を硬くした。それからスバルはシャウラに頼みがあると言う。朝食はアナスタシアが襟ドナであることの説明会に終始した。そして朝食後、ユリウスに「昨日の事で話がしたい。お前と一対一のサシでな」と言う。ユリウスの反応は想像以上のものだった。
そもそも呼び出した肝心の内容はスバルの記憶にはなかった。ただ、2人の間に書庫で何か起きたはずだと、その何かの結果がスバルから記憶を奪ったと見ていた。そしてユリウスは、あの話はあの場で終わったものだとと言うと、スバルは俺は納得しちゃいねぇよと言う。そしてユリウスは「君とアナスタシア様…エキドナとの間との密通に私はまるで気づけなかったのだから」と言う。思いがけない事実にスバルが虚を突かれる。
そしてアナスタシア様を救うにはエキドナを信じるしかない、私を覚えていなかったとしてもと言い、昨夜の話と言われて君が謝罪を口にしたらどうすべきか怯えたと言う。スバルはそれを聞いて自分が猛烈に嫌な人間になったような気がした。スバルはユリウスは書庫のことと関係ないっぽいと結論づけた。ユリウスが部屋から出ていくとシャウラが来て、あれで良かったのか?と聞く。それはユリウスとの対峙の保険にシャウラに隣室に隠れていてもらっていた。事情も聞かずに協力してくれると思ったからだった。結局記憶を奪った犯人はわからないままだった。
そして、今信じられるのはパトラッシュだけということで「いっそパトラッシュと地竜の楽園で暮らしたほうが幸せなんじゃ…」と呟く。すると「あーあ、聞いちゃったあ」と通路の曲がり角から少女が飛び出した。
メィリィとの話
メィリィはそんなの聞いたらベアトリスちゃんやお姉さんが泣いちゃうと言う。スバルはジョークだから忘れてくれと言う。メィリィはそれが本心でも笑ったりしない、私だって魔獣ちゃんたちとずっと暮らしてたって話してたでしょと言い、さらにエルザの話もされ、新しい情報に頭がパンクしそうだった。そしてメィリィはスバルに話があると言う。「昨日の夜の話だけど、わたしはどのくらい真に受けていいのかしらあ?」と言う。
ーースバルはふと突き刺すような痛みを感じていた。両腕の手首や手の甲に引っかき傷が刻まれていた。まるで誰かに爪を立てられたみたいな傷跡だった。「…あれ、俺は」何をしていたのかという疑問が脳内を支配する。痛む手の応急処置がしたいと思い周りを見渡すと、メィリィが息絶えた状態で倒れていた。スバルは駆け寄り心臓マッサージをする。しかし、メィリィは息を吹き返さなかった。
そしてメィリィの首には絞められた痣が残されており、そしてスバルの手首には抵抗したメィリィが引っ掻いた傷が無数に残っていた。その真相を理解した瞬間、スバルは朝食をその場にぶちまけた。首の痣はスバルの両手とぴったり一致するだろう。この腕以外犯行に使われた凶器はない。メィリィを殺したのはスバルだ。
スバルは何があったか思い出そうとする。メィリィと話して昨日の夜がどうとか言っていた。そこでスバルの意識は完全にぶつ切りだった。そして意識を取り戻した時メィリィは死んでいた。そんな時血で滲む腕を見て違和感があった。それは爪に血と肉が詰まり強く何かを掻いた形跡があった。メィリィの亡骸を見ても痣以外に目立った外傷はない。
スバルは反射的に自分の服の袖をまくった。肘の内側から二の腕にかけて自分の手で刻んだと思しき引っかき傷が存在した。しかしそれはただの傷ではなかった。『ナツキ・スバル参上』とそう刻み込まれていた。犯行現場に自分の犯行を示すメッセージを残すという。これも誰の犯行なのかを示すメッセージだった。『ナツキ・スバル』がメィリィを殺し、その証拠を腕に刻んだ。どうかしてるとしか思えない。そして「俺の意識が途切れ代わりにナツキ・スバルが戻ってきてる?」と考えた。
新たな死者の書
筋は通るかも知れないが、意味がわからなかった。お前、俺は誰なんだと思いついに自分自身すらも信用できなくなっていた。スバルはメィリィの亡骸に申し訳程度のささやかな隠蔽を施し部屋をゆっくりと出た。メィリィの手の爪とスバルの手首の傷を見ればスバルが犯人だとわかる。だからメィリィの死体を隠すしかなかった。そして言えることがあるとすれば、メィリィはもう容疑者じゃないと思った。
そしてエミリアがやってきて、何か閃かないか塔を歩き回っていたとか。そして「メィリィのことだけど、この塔から無事に戻れたらメィリィのことちゃんとしてあげたいって思うの」と言う。しかし肝心のメィリィは首をしめられて死んだ。するとスバルは「馬鹿馬鹿しい」と言い先の展望の話なんかできるもんかよと悪態をつく。
感情的にした発言にスバルは後悔した。すると「スバル!」とエミリアが言い、驚いて固まるもエミリアの反応は全く違うものでスバルの顔を両手で挟み込んだ。辛いならちゃんと話してと言い、悪かった頃のロズワールみたいじゃないと言う。スバルは猛烈に恥の感情が込み上げ、本当にスバルを殺そうとした人はいるのか、ただの事故だったんじゃないかと思いはじめる。エミリアに何かを伝えようとした時、ラムが火急の用件だと言い飛び込んできた。
そして書庫に行くとベアトリスが朝から書庫を調べていたそうで、本棚のある本を指差した。スバルにはタイトルが読めない。しかしエミリアがすぐに震える声でこぼした。「ーーメィリィ・ポートルート」スバルは何故と思った。なぜメィリィの死者の書がここにあるのか。何故書庫はこんなにも早く彼女の死者の書を用意したのか。そしてベアトリスはまだ本を読んでいなかった。その死者の書にある意味を思うとエミリアはすぐに探さないとと書庫を飛びだそうとする。しかしベアトリスはこれが本当にあの娘の本なら手遅れだと言う。
スバルは思考し、自分はどう立ち回ればいいか考えていた。メィリィの死者の書を読まれるわけにはいかない。そうなれば犯人はスバルだと言い逃れできなくなる。そこにシャウラが来て、本が見つかったなら読むのがてっとり早いと話す。そこでスバルはシャウラの意見も一理あると言う。
メィリィ・ポートルート①
誰かが見なくちゃいけないならということでスバルがメィリィの死者の書を読むことに。そしてこの世で最も当てにならない自分を探るためにスバルは本を手に取る。そして意識が暗転する。
ーー自分の始まりを意識した時、女は何も持っていなかった。周りには誰もいなかった。言葉も知らず、歩き方も知らず、生き方も知らなかった。本来なら獣の牙にかかり命を終えるはずだった。その額にねじくれた角を持つ殺戮の獣が女を巣に連れ帰らなければ。
黒い獣達の気まぐれに救われ、女は獣たちの女王となった。そうして獣の一頭としていずれは野で死ぬのが宿命とそう思っていたのに。「ーー連れ帰れと言われているの。だから一緒にきてもらうわ」それは黒い少女だった。少女は獣の群れを殲滅し、微笑みを浮かべたまま女を担ぎ森から連れ出していく。「嘆き方も抗い方も生き方もなくしやがった?そんなつまんねー言い訳並べられても知ったこっちゃねーんですよ」「何もかもなくした失ったなんて言いやがるんならアタクシが躾けてやろーじゃねーですか。それが母親の務めってもんですからね」それは、生き方を忘れ死に方を考えなかった事を後悔させた。
母の下で言葉を歩き方を生き方を学ばされる最中黒い少女と再会した。「あの人の言いなりになるのはやめなさい。私以外、きっと命がいくつあっても足りなくなってしまうでしょうから」それから黒い少女は頻繁に女のところへ顔を出し、気づくといつしか一緒に過ごし行動を共にすることが多くなっていた。そして母の意向で黒い少女と一緒にいることが明確に増えた。
黒い少女は異常に強く、生き方以上に殺し方を知っていた。そして同時にそれ以外のあらゆるものが雑で適当だった。「■■■■がいるもの。だったらあなたに任せた方がちゃんとしてくれるわ」と手がかかる相手だった。目が話せない相手だった。母に忠実ではなかった。生き方も自由だった。そんな黒い少女といる間は自分もまた自由なのではないかと勘違いすることができた。だからーー「エルザが、死んだ」殺しても死なない黒い少女、少女だった頃は終わり、彼女はエルザだった。
メィリィ・ポートルート②
腹に槍が刺さり、両腕を肩から失い、首が刎ねられたところだって見たことがあった。それでもエルザは死ななかった。エルザを殺した者たちが女を捕らえ冷たい牢の中へ押し込めた。女は嘆き方を知らない。女は欠陥品だった。森で獣に拾われる前から、実の親に捨てられる前から。だから同じように欠け落ちたエルザと奇跡的にぴったりと嵌った。
獣といた時には獣を。母に躾けられた時は母を。エルザと共にいた時はエルザを模倣し、他者のマネごとをする人形として生きてきた。エルザを失った今、女は誰を模倣し生きればいいのか。それがわからないまま時間が過ぎた。母が女に死ねと命じてくれたりすればその通りにーー「それは嫌よお」そこで終わるのは嫌だった。エルザを殺された自分がどうしたらいいのか、その答えが知りたかった。
「なんだ。お前も来てたのかよ■■■■」夜だった。砂の塔の書庫で後ろから声をかけられた。瞬間心臓が跳ねる。どうしてここにいるのかと聞かれたら誤魔化せない。黒髪の少年はちょっと探したい本があってとここに来たとか。その少年に微笑み、普段どおりを装った。「ーー夜ふかしするなよ■■■■」そう言われて女は書庫を離れた。ゆっくりと歩く、次第に早足に、最後には走り出す。
何をしていたのか見られた。見られたくなかった。ならばいっそ何もかもご破産に。衝動に支配され女は振り返った。走り出した道を戻り書庫へ。黒髪の少年は女に背中を向けていた。散らばっているいくつかの本。目的の死者の書を見つけたのか、もはやその推測すら妬ましいが、こちらに気づかない背中へ迫る。「ーー薄っぺらいなァ、お前」振り返らないまま浅はかな女を罵る言葉に心臓を掴まれる。何故バレたのか。「媚びるなよ気持ち悪い。誰もお前にそんなこと望んじゃいないサ」「望みに耳を傾けろ、そうすれば少しは自分ってもんが見えてくる。自分ってもんが見えてくればやりたいこともはっきりわかる」「その顔いいね。味わい深い」気づけば少年が振り返り女の前に立っていた。「自分の望みがわかったら、自分ってヤツが見えてきたらもっとらしく動けよ、お前の退屈な悩みもつまらない苦しみも俺が覚えててやる」そうして少年が女の髪に口づけする。
メィリィ・ポートルート③
そして女は一晩開けて朝食も終え、塔での次の行動を起こす前に黒髪の少年に接触する。「昨日の夜の話だけど、わたしはどのぐらい真に受けていいのかしらあ?」眠れないくらい考えた。それでも答えは出せなかった。少年は場所を変えようと提案した。「悪いな、■■■■」その瞬間不意に床に突き飛ばされた。突然のことに抵抗できない体に少年が馬乗りになる。「それを直接聞くのはルール違反だ」強い力で首が圧迫される。
意味がわからない。何を言っているのか。何を言われているのか。「これはこれで面白い話になる。ナツキ・スバルの殺人事件だ」殺される。理解はそこまでしか至らない。あの森で独りだった頃から何ができたのか。殺される。殺される。殺される。ーー殺してやる。
「う、あぁぁぁぁーッ!?」瞬間、弾かれたように悲鳴を上げてスバルはその場にひっくり返る。そこにエミリアとベアトリスが駆け寄る。「わ、わたしは…あ、え、俺?今いまいまどうなんだ?」ぐるぐる目がまわり泡を吹くスバルにベアトリスが必死に呼びかける。深く潜りすぎて喋り方が二人で混ざり合っているとベアトリスが言う。「お、れ…俺だよな…わたしじゃなく、俺で、エルザはいなくなって」そしてエミリアとベアトリスがスバルに語りかけてくれる。そんな奮闘をこの場に居合わせるシャウラがただ静かに眺めていた。
そこに襟ドナが来て、何を見たのか聞く。するとスバルはメィリィの記憶だったと言う。そしてほんの数時間前に食事を共にした幼い少女が失われたのだと認識する。それからユリウスがメィリィの最期の瞬間を確かめることができたのか聞く。しかし最期までは見ていないと罪悪感を噛み殺して答える。スバルにこれ以上無理をさせたくないとのことで、ベアトリスだけがスバルを見て、他の人達はメィリィを探すことに。
そして残っていたシャウラにベアトリスはどうするつもりなのか聞くとお師様のお願いなら聞くと言う。ベアトリスがならメィリィを探しにいくのよと言うとそれが本当にお師様の望みッスか?と聞き返す。だからお師様に聞きたいと話す。
死体の在り処
スバルはメィリィの死に関わった事を隠したい。スバルは自分の隠したメィリィの死体を見つけてほしい。スバルはわたしを殺したナツキ・スバルを凶弾したい。その矛盾した願望の果てに「シャウラ、メィリィのことを頼む」とスバルは言う。そしてスバルの言う通りシャウラは階段を飛び降りて行ってしまう。
死者の書を読み解くことで、メィリィが大切に想っていた相手がいた事、それを奪われさまよい続けていたこ事、それを奪ったスバル達にどんな想いを抱けばいいのか苦心していた事、自分の本心を知ろうと死者の書を求めたこと。全部知ることができた。それからベアトリスと緑部屋に行こうとした時、ベアトリスに手を貸すかしらと言われつい手を出した。
見られてはならないものを見られた。しかしベアトリスはまた自分の手を引っ掻いている悪い癖だと言う。それはまるでスバルの腕に傷があって当然のような態度だった。ベアトリスの指先が淡く光り傷が癒えていく。スバルは仮にメィリィが見つかったらそのときは潔く観念しようと決断した。しかし塔内をくまなく探したがメィリィを見つけることができなかった。少女の亡骸は忽然と監視塔から姿を消してしまった。
それから夕食時、襟ドナが明日以降も彼女の捜索を続けるつもりなら反対だと言う。それは食料にも限界があるし、塔に長居するのにも陣営に負担を強いると言う。そこにユリウスが割って入り、現在のアナスタシア様の状態はオドを削り維持されていると説明し、エミリア達を納得させる。襟ドナもだから早くアナに体を返してあげたいと言う。結局は塔の攻略を優先するものの、エミリアはできるだけメィリィも探すつもりだとのことに。
深夜スバルはようやく生まれた単独行動の機会にパトラッシュに人差し指を立て秘密にしてくれと頼み、行動を開始した。メィリィの死体は四角い部屋に石造りの台座のようなものがあり、その裏側に白い布を被せておいた。そこに行くも台座の裏には何もなかった。そんな時「こんな夜更けにこそこそと探し物でも探しているの、バルス」と声が聞こえた。そしてラムは「それとも偽物というべきかしら、ナツキ・スバルの出来損ない」その言葉にスバルの心が悲鳴を上げる。
犯人は現場に舞い戻る
スバルは嵌められたのだと思った。何度もテレビドラマでこんなシーンは目にしてきた。完璧な計画を練り上げた殺人犯が決定的な場面で警察と探偵が張り込む現場に舞い戻ってきてボロを出す。そして自ら動かぬ証拠を露呈し逮捕される。ラムによれば最初に違和感を抱いたのはエミリアだと言う。しかしスバルは夜中に歩いていただけで随分と悪者扱いしてくれるじゃねえかと言う。それに対しラムは「誰にも見られてないとでも?いいえ、視ていたわよ」その発言に無言になる。ラムは不勉強なようねと言い唇に指を立てて見せる。その様子に何の偶然か緑部屋を出る前にパトラッシュに見せたものと重なった。
潔く罪を認めなさいと言ったラムにスバルは突っ込む。押し倒してメィリィにしたのと同じようにしてやるつもりだった。しかし「野蛮な男のところにか弱いラムが一人で挑むと思ったの?」と言った瞬間、スバルを氷でできた檻が取り囲んだ。するとラムの後ろからエミリアが悲しげに出てきた。
エミリアはどうしちゃったの?と聞くと「俺が変だって気づいたのはエミリアちゃんなんだろ?なのにそんなふうに俺に望みをかけるのはなんでなんだ?そもそも何が引っかかった?」するとエミリアは「本当にわからないの?今も同じことが引っかかってるのに」と答える。スバルとナツキ・スバルを見分けた理由にスバルはピンとこない。しかしそれを説明してくれるつもりは彼女らにはないらしい。
そこでラムが痛めつけるのが必要ならそうすると言うとエミリアはそれはダメだと言う。二人がスバルについて言い合う中、ラムが「今すぐ口を割らせるべきです!本物のバルスとメィリィの居場所を聞くために」と言った。彼女たちはメィリィの亡骸を見つけていなかった。そしてスバルは「俺は記憶喪失だ!」と二人の言い合いに割り込む。
しかしラムからすれば苦し紛れの嘘にしか聞こえない。エミリアがスバルを庇うもラムが「レムはどうなるの?」「その顔と声でレムを忘れたなんてもう一度でも…」と言いスバルに魔法を放つ。
わかると思いますがラムが人差し指を立てたのは、千里眼を通してパトラッシュの視界からスバルを見ており、単独行動することを秘密にしてくれというスバルがした仕草です。
無数に刻まれた文字
スバルは氷の檻に後頭部を打ち付け意識が霞む。スバルが覚醒すると、左腕が全く動かず肩を脱臼しているようだった。そしてなぜかスバルは氷の檻の外にいた。それを考え自分の肩の脱臼と檻との関連性に気づく。そして、エミリアとラムがいなくなっていた。いったいスバルの意識がない間、何が起きていたのかと部屋の中を見回すと『ナツキ・スバル参上』そう壁にいつか見た文言が残されているのを発見した。視界の片隅に砕かれた石の台座があり、壁の文字はそれを使って刻まれたらしい。しかし、
『ナツキ・スバル参上』『ナツキ・スバル参上』『ナツキ・スバル参上』『ナツキ・スバル参上』
部屋の中を埋め尽くすようにびっしりと文字が刻まれていた。誰が何の為にこんな文字を刻んで。そんな時「あぁン?なンだこりゃ、気持ち悪ぃ部屋だなオイ。なンだってこンな気持ちわるい飾り付けしてンだ、オメエ」と背後から声が聞こえた。ここにいられないはずの男が確かに嗤っていた。
何故自分の肩が外れているのか。何故部屋中に『ナツキ・スバル参上』と刻まれているのか。何故スバルを捕らえたはずのエミリアやラムの姿がこの場にないのか。何故隠したはずのメィリィの亡骸がどこにもないのか。何故ナツキ・スバルの記憶は失われたのか。何故ナツキ・スバルは異世界に呼ばれたのか。何故、何故、何故ーー
二層の番人レイド・アストレア。突如レイドはスバルの肩が外れている事に気づき、乱暴に腕をひねり、肩の関節を強引に嵌め直す。そして苦痛にスバルが涙を流すとオレがいじめてるみてえに見えんだろうが、いじめたのはあの激マブのほうだろうがと言う。そして、そこそこ動くみたいだなと呟きレイドは部屋の外へ向かう。スバルはレイドを追い「あんたは上の階から降りてこられないって話じゃなかったのか?」と聞く。
すると「オレが二層から出られねえなんていつ言ったよ?…なんてな。安心しろや。オレが出歩けねえって前提は間違っちゃいねえ。ただその前提が崩れてんだよ」と言うもそれ以上は教えてくれなかった。
降りてこられないはずの男
そしてレイドはここから出ていくつもりで飯と水、酒、ついでも女もいりゃ言うことはねぇ。オメエの連れの中じゃ激マブとエロい格好の女が狙いだと言う。その言葉にスバルは試験とかこの状況とかどうすんだよと言うも、オメエの身内の始末はオメエでつけろと言う。一個だけ心残りがあるというと「ああ、きやがったな」とレイドは言い通路の正面に向かって歩き出す。
そこは螺旋階段を一望できる通路の終端で、スバルが突き落とされて命を落とした場所だった。しかし眼下には、炎を纏った怪物で埋め尽くされ地獄と化していた。異形のケンタウロス。それが20体以上五層を跳ね回っている。さらに魔獣相手にユリウスが戦っていた。そしてレイドがそこへ飛び降りケンタウロスの胴体がひしゃげてへし折れる。スバルなら死んでいた高さを飛び降りてピンピンしているレイドだった。
そしてユリウスがあなたは何故ここにと質問する。スバルと同じ質問にもっと他にあんだろ、うまい酒の銘柄とかどうしてそんなに強いんですかとかと言う。「女にモテる秘訣は顔、うまい酒は火酒グランヒルテ。オレがどうして世界で一番強えのか。そいつはオレがオレだから」そう言って突き出した箸をちょいちょいと動かす。すると動きが止まっていたケンタウロスの全身に亀裂が入り血が噴く。
そして「そら、試験の続きだ、オレが飽きる前にもぎ取ってみせろやオメエ」と言い、周囲のケンタウロスを切り刻みながらユリウスに襲いかかる。レイドの興味の対象はユリウスだけだった。ユリウスはこれだけの魔獣が湧いているのに今は力を合わせて対抗すべきだと言う。しかしレイドは行儀のいい剣筋のやつは考えることまで行儀がよろしいな。そんなんで人生楽しいのかよ。やりてえこと我慢してるよりやりてえことやってる奴のほうが強えし楽しんでんぞ。火炙りの馬が走り回ってるのは雨が降ったのと変わりゃしねえと言う。
理解不能の哲学をぶつけられユリウスの表情は困惑し、それから激情を宿す。そしてレイドは「かっ!それだ悪くねえぜその顔」と言いながらユリウスを蹴りつけ五層の壁に激突する。
詳細は省きますが、レイドが好きな火酒グランヒルテはエルザが少女時代に盗み出した酒で、追ってきた店主の腹を割れた酒瓶の破片で初めて切り裂き、腸の温かさから生きている実感を感じました。そしてそれが印象に残っていた為に自分の名前をグランヒルテと名乗るようになったというわけです。
レイドの興味
そのユリウスに魔獣の群れが殺到するも強引に回避。そして左手を向けーー何も起きない。ユリウスの表情が苦悩に歪む。「この後に及んでまーだ本気でやれてねえなオメエ」とユリウスと魔獣の間に割り込んだレイドが棒切れで嵐を起こす。十数体のケンタウロスを宙に巻き上げ肉片にしてぶちまけるのに2秒。為す術なく魔獣の群れが全滅する。「その分じゃ遊んでやっても収穫ねえか。だったらオレは勝手に出てくぜ」とユリウスに興味をなくす。
そんな中、階下から吹き上がる業炎がユリウスを焼き尽くさんと迫る状況がスバルからは見えていた。幻聴でメィリィがあのお兄さんを殺せるチャンスだと聞こえる。しかし「後ろだユリウス!」その声にユリウスが反射的に回避行動をとる。奇襲をしくじったケンタウロスが五層へ飛び上がる。さらに続々と魔獣の群れが再び五層を占拠した。
ユリウスはマントを脱ぎ捨てレイドに向き直ろうとするかと思いきやスバルを見る。「エキドナ、アナスタシア様を頼んだ!」騎士剣を掲げてユリウスが叫ぶ。弾かれたようにスバルは重い足を動かして走り出していた。ユリウスを階下に魔獣の群れとレイドを残してスバルは走った。そしてベアトリスと襟ドナと出くわす。
しかし襟ドナから猜疑心のある瞳が向けられていた。エミリア達と交わした会話の内容を知っているならその態度は当たり前だった。しかしベアトリスは今はその話をしている場合じゃない、こっちにくるかしら!と叫ぶ。その様子に襟ドナは彼は君の知る彼ではないというもベアトリスは触れた手から契約が生きていることがわかると言う。しかしスバルはこの塔はもうだめだと言う。
襟ドナはそれに対し既に目的は遂げたという意味かと聞き「君たちの狙いは祠の魔女だろう!?それが叶った、だから本性を現したんだ」と言う。スバルは困惑するも「…どうでもいいか、もう終わる世界だ」と言う。ベアトリスはスバルらしくないかしらと言うと、スバルは俺らしいってなんなんだと言う。
ユリウスが左手をかざしたのは、恐らくいつもなら準精霊の力で魔法を発動していたのではないでしょうか?しかし今はその力が使えないので、表情が歪んだのではないかと思います。
俺が悪かったんです
襟ドナは記憶をなくしたとそんなできの悪い嘘を貫き通し、まだそんな演技をするのかと言う。それに対しスバルは「俺のこれが演技だとお前はそう言うのか!?」「演じるならもっとましな奴を選ぶに決まってんだろ!?誰が好き好んでナツキ・スバルになろうとするもんかよ!こんな気持ち悪い奴に!」
「お前らよってたかって知らねえんだよ!俺はコンビニ帰りなんだ!それがいきなり異世界?砂の塔?死体?試験!偽物!ナツキ・スバル!ふざけるんじゃねえ!」「そうだよ!どうせ俺が悪いんだよ!ここじゃないとこに行きたかったんだ!家に帰りたくなかったんだよ!偽物の顔張り付けて父ちゃんとお母さんに迷惑かけてんのが怖かったんだよ!だから最初はワクワクしてたさ最初だけな!」「なんで今いきなりキレてんだって思ってんだろ?俺だってわかんねえよ!でも今いきなり限界がきたんだよ!俺なんてこんなもんなんだって、望まれたって何もできない!できやしない!」「だからもう許してくれ。許してくれください。俺をうちに帰してください…神様が俺に罰を与えようとしたんなら、わかりました、俺が悪かったんです」
いつしか喉は嗄れてスバルは蹲っていた。そのスバルにベアトリスが寄り添い背中を優しく撫でる。しかし襟ドナは「ボクは君を信じない」とベアトリスと対象的に冷たいものだった。しかし戻ったアナに顔向けできなくなる事はしたくないと言いユリウスを探すからベアトリスは彼といけばいいと言う。
しかし行こうとする襟ドナの裾をスバルは掴んでいた。「…ユリウスに頼まれて」そう言うと「彼は五層の様子を見に行ったはずだ。それなのに君に会ったとしたら、それより頼まれたとは?」と次々に質問をぶつけられ、その剣幕に怯えて言葉が出なくなった。
スバルは苛立つ襟ドナから目を逸らし向こうを見る。その視線がそれを捕らえた。赤い光点。それを見た瞬間に直感的に悟った。目が合ったと。闇に同化する黒い巨体。赤々と輝いた光点、異様に発達している鋭い鋏と尾の針が白く輝いて。刹那、想像を絶するほど巨大なサソリの尾針が光となって通路を蹂躙した。
エル・ジワルド
凄まじい破壊の中心に少女が飛び込んだ。「不完全E・M・Tかしら!」スバルの手を掴みもう片方の手を正面にかざしてベアトリスが叫ぶ。生じたのは見えない光の壁のようなもので、それは白光を受け止め、スバル達を避けるように前から後ろへ抜けていく。
敵の猛攻に思わず後ろへ倒れ込む襟ドナ。しかし倒れる方向に支える床がなかった。大サソリの攻撃に砕かれ通路が崩壊して大穴が開いている。襟ドナはとっさに手を伸ばすが掴まれるものは何もない。そのまま転落し命を落とすことになる。その手をスバルが掴んでいなければ。レイドが嵌め直した左腕に痛みが走る。
「…君を測りかねるようなことをしないでくれ」「知る、か…!とっさなんだよ!」そして襟ドナはスバルが掴んだ腕とは別の腕を天井へ向けた。スバルの背後に近づいてきた大サソリが鋏を振るおうとしていた。「エル・ジワルドーー!」襟ドナの五指が光り輝き白い熱線がサソリの鋏を、顔面を、甲羅を焼き焦がす。その威力に大サソリは後退し、鋏を落とす。
「ジワルド!ジワルドジワルドジワルドぉ!」「待て!落ち着けエキドナ!逃げたあいつは逃げた!」大穴にぶら下がったままやたらに攻撃を繰り返す襟ドナ。彼女の体を引き上げスバルは必死に名前を呼んだ。やがて彼女は興奮からぐったりと脱力しスバルに体を預ける。
ベアトリスによれば、魔獣だそうでいきなり四層に現れた。そして下層と上層にも異変が起きているようだと説明する。襟ドナは君は何がしたくて誰の味方をする?と聞くとスバルは俺だってわからねえと言う。どうして今助けたのかと襟ドナが言うと、とっさだったんだわからねえ。全部に理由があるわけじゃないだろ?と言う。それを聞き、それが君の本質なのかもしれないなと襟ドナが言う。
以前レイドに対しても使ったジワルドは陽属性の魔法です。アナスタシアは魔法は使えませんが、襟ドナは使えます。ただ、アナスタシアのオドを消費するので、魔法を使う事もアナスタシアの命を消費しているのと同義になります。
介錯
とにかくここを離れようということでベアトリスはスバルの手を握った。そして「ベティーを連れ出してくれたことも覚えてないかしら」と聞くと「ご、めん、お前が何を言っているのか俺には」「ーーいいのよ」とベアトリスの声に寂しい感情が交えられていた。「スバルが忘れたとしてもベティーの心の中に残ってる。スバルが刻んでくれたものが色褪せる事はないかしら。だから今はいいのよ」と言う。それはあまりにも一人で立つナツキ・スバルには眩しすぎる答えだった。いったいどれほどの苦境を乗り越えればこれほど幼い少女がここまで気高い意思を持つことができるのか。スバルは思わず瞼に込み上げる涙を堪える。
そして移動しようと大サソリが落とした鋏に気をつけそれを跨ぐ。しかし、大サソリの鋏がびくりと震え、直後光が弾けた。スバルは血塗れの状態で足を引きずっていた。そして引きずっているのは足だけではなく、ぐったりしている襟ドナだった。あの置き土産を残した魔獣から少しでも離れる為に必死で動く。襟ドナは「もう、いい…」と言う。そしてベアトリスはいなくなってしまっていた。炸裂の瞬間ベアトリスはスバルの腕の中。胸や頭を庇える位置にいた。
スバルは消去法で残った襟ドナを引きずり逃げているが、そんな行いを襟ドナは静止する。それは当然のことで、彼女の体は両足が付け根から吹き飛んでいた。そして、アナに合わせる顔がないという襟ドナはこのままアナに体を返せば地獄だと言う。そしてスバルに新たな選択肢を芽生えさせた。崩れた通路の破片を手に取った。しかし、振り下ろすだけの簡単な動作が今のスバルにはできなかった。「介錯の為に、君は石も握れないんだ…」「疑って悪かったね」息を抜くように謝られた。そして彼女は死んだ。
今起きた事を何もかも忘れて死んでしまいたかった。ナツキ・スバルは己に絶望した。ーー世界は闇色に塗りつぶされようとしていた。動けないスバルへと無数に伸びてくる黒い手。
初めての出会い
ゆっくりと自分の存在が虚ろになっていく。しかしスバルはそれを全く嫌だと感じていなかった。魂を汚され存在を上書きされる。そんな命への冒涜をされながらスバルの心は安寧に満たされていた。その冒涜ならナツキ・スバルが先にやっている。ナツキ・スバルの魂を汚し、上書きした結果がこの有様。「ーー愛してる。愛してる。愛してる」
いくら繰り返されたとしても俺は愛していない。俺は俺を愛していない。この責め苦に耐え抜いたら俺の願いを叶えてくれるのか。だったら受け入れよう。これが最後にできることなら、ナツキ・スバルは消えてなくなったって。
「ーーそこまでよ」声がした。光が迸りスバルと溶け合わんとしていた漆黒の魔手へと突き刺さる。弾け飛んだもののそれは無数の一本に過ぎない。千の内の一を削った代わりに得たものが、その膨大な影からの敵意では割りに合わない。しかしその声は押し寄せる影を驚くべき身のこなしで回避する。
「ーースバル!」銀鈴の声がスバルの手を強く握っていた。そのまま引き上げられ連れ出される。エミリアが懸命に走る。しかしスバルはユリウスもベアトリスも襟ドナも見殺しにした。「もう十分だ」「これ以上足掻いても仕方ないって言ったんだよ」手を引くエミリアに抗い足を止めた。スバルはなんで助けようとする。俺が偽物だって思ったから氷の檻に閉じ込めたんだろと聞く。そして皆が死んだ事を話す。皆頼むとか取り戻すとか疑って悪かったとか何を言っているのか。託されたものを裏切ったからナツキ・スバルはここにいる。一番愚かでどうしようもなくて、救えないそれがナツキ・スバルでなくて何なんだ。
「ーー私とスバルが初めて会ったのは、王都の盗品蔵って場所だったの」突然のエミリアの告白にスバルは鼓膜を震わせた。
肯定
スバルの反応を余所にエミリアは記憶を蘇らせていく。「そのとき私はすごーく大事な徽章をフェルトちゃんに盗られちゃって。取り戻さなくっちゃってパックと大慌てだったの。それで追いかけた先でメィリィのお姉さんと戦うことになって、でもラインハルトが助けてくれて。ホッとした所をメィリィのお姉さんに狙われて…それをスバルが助けてくれて」「それがスバルと私の初めての出会い…思い出した?」
その問いかけに首を横に振った。エミリアはスバルとの出会いの話を続ける。しかしスバルは首を横に振る。「覚えちゃいない。思い出せもしない。お前らは誰の話をしてるんだよ!?」「誰かの為に命を張れて誰かのために命がけで何かを成し遂げられる!そんなことってあるかよ!?」「そんなやつがナツキ・スバルのわけがねぇ!」「ナツキ・スバルにはそんな価値があるもんかよ!クズなんだ!俺が誰よりそれを知ってるんだ!」そしてぽつりと呟く。「ーー俺じゃなくてもいいだろ」
「ーー私の名前はエミリア。ただのエミリアよ」言葉の意図がわからない。「話さなきゃいけないことがたくさんある。でも今は一つだけ聞かせて。ユリウスがベアトリスがエキドナがそして今私が手を引いてどうしても守ってあげたくてそうやって私達に思わせてくれたあなたは誰?」「お願い。あなたの名前を聞かせて」胸の奥が震えた。それは眼前のナツキ・スバルを否定して過去のスバルを取り戻さんとそうした意図の表れではなく、ナツキ・スバルの肯定だった。
スバルはどうしてなんだ。弱くて頭も悪くて情けないやつに何をと聞く。「あなたの言う通りかもしれない」「スバルより強い人はいるし、きっと頭のいい人だってたくさんいる。でも私はどんなときでも一緒にいるのはスバルがいい。そうしてくれるって信じてるし願ってる」「だって助けてくれるならできるから、そこにいたから、そうしてくれる人よりーー好きな人にそうしてもらえた方がずっとずっと嬉しいもの」微笑みながらわずかに顔を赤らめてエミリアは言った。
力の源
スバルの内側から湧き上がってきたのはナツキ・スバルへの嘲笑。そして理解した。『ナツキ・スバル』にあってナツキ・スバルになかった。底知れない力の源。それがなんだったのかついに突き止めて笑ってしまった。『ナツキ・スバル』はあんな美少女に惚れてたのか。
理解してしまえば、なんて馬鹿な理由なのか。身の丈に合わないにもほどがあるだろう。あんなにカッコいい騎士が、賢そうな女が、可愛らしい少女が。そして目の前にいるあんな美少女が。「私の名前はエミリア。ただのエミリアよ」押し黙ったスバルに今一度名前を名乗る。「お願い。あなたの名前を聞かせて」再びの問いかけに言葉を躊躇った。
散々否定を重ね続けた。この砂漠の塔でエミリア達にそうされる資格があるのなら。エミリア達を助け出せる誰かがいたとしたら。それが『ナツキ・スバル』ならその『ナツキ・スバル』がどこにもいないなら「ーー俺の名前は、ナツキ・スバル」「ユリウスに託されて、ベアトリスが信じて、エキドナが赦して、エミリア…君に願われる、その男の名前がナツキ・スバルなら」「ーー俺がナツキ・スバルだ」
これはみっともない懇願だった。彼女達に救われてほしい、そのために自分の全てを費やしたいとそう思った。強く自分をナツキ・スバルだと言い切った。『ナツキ・スバル』にならそれができるなら俺がそれをやる。だから頼む『ナツキ・スバル』よ。俺にエミリア達を救わせてくれ。「ありがとうエミリア。俺にそう思わせてくれて」「ーースバル、私は」
そんな時、二人がやりとりしていた通路が膨大が影に握り潰される。足場をなくしたエミリアにスバルは手を伸ばした。落ちていくエミリアに追い縋りついには細い体を抱きしめる。スバル達が落ちるのは硬い塔の床ではなく、漆黒の影の中。このまま二人は抱き合いながら影に呑まれ終わりになる。だが終わりではない。これが、ここからが、きっと始まりになる。
Re:ゼロから始まる異世界生活
一度始めたことを今一度ここで新たに終わりから始める。そのための約束を交わそう。全部抱えてこの終わりから始めよう。燻っていた時間はお終いだ。
この終わる世界で、この始まりの世界で君たちが俺にかけてくれた言葉を、忘れてしまったとしても、俺がぶつけてしまった言葉を、忘れてしまったとしても。俺が覚えてる。全部覚えてる。今度こそ、しがみついてでも忘れないから、何があろうと忘れないから。この記憶だけは、たとえ死んだとしても忘れないから。
「たとえ君が忘れてもーー俺が、君たちを忘れない」
ずっと覚えていろよナツキ・スバル。
スバルとエミリアを影が呑み込んでいく。最後の最後までこの温もりだけは失わないように。そのまま影の中へどこまでも沈んで。全てが失われ何もかもがゼロになり、目論見通りに終りが来る。そして何もかもがゼロになった場所で始まる。
ーーナツキ・スバルを殺し、『ナツキ・スバル』を取り戻すための戦いが。
考察・解説
スバルを突き落とした犯人
今回スバルは2度、螺旋階段から突き落とされました。最初文章を見たときは、スバルは普通に踏み外しただけだと思いましたが、2度目からは完全に突き落とされたのだとわかりました。
これには犯人がいるのですが、24巻で判明します。23巻でもほぼ答えのような伏線がありましたが、スバルに殺意を持っている人物は誰でしょうか?
スバルが記憶喪失になった理由も24巻で明かされますが、そもそもスバルがいたのは書庫です。そこでの出来事が全て繋がっています。
メィリィの首を締めた理由
そしてスバルは意識を失っている間、気づけばメィリィの首を締めて殺していました。
詳細はメィリィの死者の書でも語られていた事ですが、まずは、書庫でスバルとメィリィが出会った夜に、再度後ろからスバルに近づこうとしたメィリィにかけたスバルの言葉。
「ーー薄っぺらいなァ、お前」「媚びるなよ気持ち悪い。誰もお前にそんなこと望んじゃいないサ」「望みに耳を傾けろ、そうすれば少しは自分ってもんが見えてくる。自分ってもんが見えてくればやりたいこともはっきりわかる」「その顔いいね。味わい深い」「自分の望みがわかったら、自分ってヤツが見えてきたらもっとらしく動けよ、お前の退屈な悩みもつまらない苦しみも俺が覚えててやる」
そして翌日、メィリィがスバルに「昨日の夜の話だけど、わたしはどのぐらい真に受けていいのかしらあ?」と言い、場所を変えた後のスバルの言葉。
「悪いな、■■■■」「それを直接聞くのはルール違反だ」「これはこれで面白い話になる。ナツキ・スバルの殺人事件だ」
と首を締めて殺した流れになっていました。これはスバルが意識を失っている時の出来事です。明らかにスバルの話し方ではありませんし、誰かがスバルを乗っ取っている感じになっています。これも25巻ほどで明らかになったかと思われます。
また、たまにある■■■のような表現ですが、記憶がなかったり、名前が隠れている表現です。長月先生のこの表現は結構好きです。
メィリィの母親
メィリィの死者の書で登場した『母親』ですが、エルザが母親の命令でメィリィを森から連れ出しました。そして、
「何もかもなくした失ったなんて言いやがるんならアタクシが躾けてやろーじゃねーですか。それが母親の務めってもんですからね」
この喋り方から誰かはわかりますよね。色欲の大罪司教のカペラです。これは24巻でもさらに他の事実も判明します。
また、リゼロ2期DVD特典小説の『アポカリプスガールズ』でもエルザの前にカペラと思われる人物が現れ、エルザを売っていた奴隷商のオリバーと同じく死なない体の呪い人形であるオルニアという2人を人質に取られたのでエルザはカペラに従うようになりました。オリバーは奴隷商とは言えその職業で奴隷を幸せにしようとしている善人でした。
また、エルザがメィリィをよく気にかけていたのは、少女の時にエルザ同様に奴隷だった失語症のタチアナという子供がおり、同じく最初は喋れなかったメィリィと似たものを感じたからだと思われます。タチアナは自分の買い主に虐待されており、エルザがそれに制裁を加えたために、タチアナはエルザに感謝しべったりになります。しかし最後はエルザと同じ呪い人形の義理の姉妹であるサリアとヒルデアにオルトロスという魔獣をけしかけられ、エルザをかばってタチアナは死にました。
スバルの首を斬った人物
嫉妬の魔女の影が迫った時、パトラッシュが最後までスバルを助けようと奔走し、最後にすり抜ける壁へ投げ飛ばし、バルコニーに出ました。
そこでスバルは振り返るまもなく
「ーー次、当ててみなよ、英雄」
と言われ首を斬られました。
かなり意味深な言葉でしたが、これもはっきりとは説明されませんが、24巻で判明します。
スバルを「英雄」と言うのは誰か?「次、当ててみなよ」という死に戻りを知っているような発言。一緒に塔にきた仲間たちでは考えられない発言ですよね。
皆を殺した犯人
そして、同じく嫉妬の影が襲来し、スバルの首が斬られた時、
・頭の潰れたシャウラ
・襟ドナは左肩から右肩にかけてバッサリと断ち切られていた
・ラムは後ろから胴体を吹き飛ばされ胸に大穴
・ユリウスは全身におびただしい傷
・メィリィはユリウスに背後を庇われ穏やかな致命傷
それぞれエミリアとベアトリス以外の死体を見つけました。
ではこれは誰がやったのか?先の話でもはっきりとは語られていませんので、誰なのかわかっていないのですが、検討のつく相手が数人います。
その候補は24巻で明らかになります。その候補の一つは今回登場した大サソリですね。
地下の扉の枚数
そして記憶喪失のスバルは外に出ようとした時、砂蚯蚓の攻撃、そして恐らくシャウラが砂蚯蚓を白光で倒した衝撃で、地面に倒れてきて、スバルが地下へ落ちました。
そこで先に進むと5枚目の扉まで進めましたが、そこで打ち止めでした。しかしよく考えてみれば、最初に監視塔にきた時は4枚目の扉で開かなくなりました。前回と今回は3枚開けられたのと、4枚開けられたのと扉の枚数が違うんです。
僕はこれはスバルの中の魔女因子の数だと思っています。WEB版だと実は扉の枚数ではなく、宝玉の数になっているのですが、この宝玉は7つありました。扉に改変された時は7枚あるとは表現されていませんでした。7つなら魔女因子の数と一致しますよね。
そしてなぜ記憶がある時は3枚で、記憶喪失後は4枚なのか。この考察も24,25巻で説明できると思うので、お待ち下さい。
2層から動いたレイド
そしてスバルもユリウスも驚いたのが、2層から動いていたレイドです。2層の試験官のレイドはその階から動けないはずです。
なので、他の階に降りてこられるはずがないんです。ただレイドは『その前提が崩れた』と言っていました。つまりその前提が崩れた結果、移動できるようになったということです。
これも24,25巻で明らかになります。この話は詳しく説明される回があるので、その理由がちゃんとあります。
そしてレイドの強さも垣間見えましたね。
『ユリウスと魔獣の間に割り込んだレイドが棒切れで嵐を起こす。十数体のケンタウロスを宙に巻き上げ肉片にしてぶちまけるのに2秒。為す術なく魔獣の群れが全滅する』
ケンタウロスが2秒で全滅しました。レイド強すぎます。
嫉妬の魔女の襲来
そして今回、嫉妬の魔女の影が襲来しました。
これは4章で墓所から出た時に聖域を覆ったものと一緒です。ではなぜこのような事が起きたのか?
それは『他人に死に戻りを知られたから』です。4章では、エキドナに死に戻りを打ち明けましたが、エキドナの城の中だったので、影が侵入できませんでした。しかし、スバルが目覚めてから聖域に影が襲来しました。その説明をエキドナがしていましたね。
つまり今回も誰かにスバルの死に戻りを知られたから影が襲来しました。スバルがただ、死に戻りについて打ち明けようとしたなら、心臓を握られるだけですが、この現象は嫉妬の魔女がペナルティを実行できず、スバルが誰かに死に戻りを打ち明ける事とは関係なく死に戻りが誰かに知られてしまったという事になります。
それも24巻で明らかになります。
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まとめ
ということで今回の内容をまとめます。
・スバルはタイゲタの書庫で記憶を失った
・スバルは書庫でメィリィと会っていた
・スバルは何者かに螺旋階段から突き落とされた
・スバルが意識を失っている間、メィリィを殺していた
・スバルが意識を失っている間、氷の檻から出ており『ナツキ・スバル参上』と壁びっしりに刻まれていた
・スバルは何者かに首を斬られた
・突如四層に魔獣の大サソリが出現した
・なぜか動けないはずのレイドが2層から動いていた
・なぜか嫉妬の魔女の影が襲来した
・底知れない力の源が『ナツキ・スバル』がエミリアに惚れていたと知って、記憶喪失のスバルは吹っ切れた
次回、24巻もお楽しみに。
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